なんでもコンクール

好きな音楽についてゆるーく書きます。基本的に褒めちぎり。

真に日本が誇るべき音楽「陰陽座」

日本人はもっと日本独特の文化を誇るべきなのかもしれない。

 

陰陽座(おんみょうざ)は、1999年結成のヘヴィメタルバンドだ。

彼らは、妖怪・日本史・文学etc…と日本という国で紡がれた様々な事象を音楽にしてきた唯一無二のバンドである。

「いや、和楽器バンドいるじゃん。」

ちなみにこれは母に言われたセリフだが…いや、聴けばわかるが全くの別物である。

 

僕にとっては好きすぎて正常な判断ができないバンドの一つだ。魅力がちゃんと伝わるように書けたらいいなと祈りつつ…

                                       

最強の憑依型ボーカル

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このバンドを語るのにこの曲は外すことは出来ないだろう。ご存じの方も多いとは思うがアニメ”バジリスク”の主題歌だ。一時期、バジリスクタイムなるものがツイッターで流行したりもした。

 美しいハイトーンボイス、覚えやすいサビ、疾走感…様々な人に愛されてきた名曲だ。陰陽座ファン以外のこのバンドに対する印象は99%この楽曲のイメージ だろう。

 

しかし、Vo.黒猫の表現力…彼らの膨大な作品群の内の1曲では、ほんの上澄みしか伝わっていない。

彼女は曲に合わせて全く別の人間に成ることが出来る。

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組曲「鬼子母神」〜鬼子母人 (10thアルバム”鬼子母神”収録)

 甲賀忍法帖の爽やかな歌唱とは打って変わり、怨嗟の声が聞こえてきそうな鬼気迫る歌唱。何パターンか歌唱法を使い分けている…とかそういう事ではなく曲自体への没入感が凄い。おどろおどろしい曲では怨霊のように、妖艶な曲ではセクシーに、楽し気な曲では明るく歌い上げる。

文字数が増え過ぎてしまうので全部は紹介できないが、曲の数だけ彼女は人格を入れ替えているんじゃないかと思ってしまう。言い過ぎか?

 

彼女はシンガーでありながら、ある種のアクターでもあるのだと思う。絵画・音楽・演劇…表現のための創作物は多々あるが、行き着くところは同じなのかもしれない。

陰陽座というバンドはその性質上、日本という共通点こそあるものの曲によっては妖怪、偉人、果ては神など…様々なコンセプトで歌い上げなくてはいけない。よって、彼女ほどの憑依力が無ければボーカルは務まらないのだろう。

ちなみにライブ映像付きで見るとその憑依加減は更にすさまじい。

                                       

生粋のライブバンド

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隙あらばツアー。

とにかくライブ活動が多い。デビュー以後、既に全都道府県を2周しているという事実がそれを物語っている。

彼らにとってのライブは「曲の世界観の完全再現」だとBa./Vo.瞬火が事あるごとに語っており、個人的な解釈ではあるが「世界観の肉付け」に当たるのかもしれない。違ったものを見せるのではなく…魅力の増幅とも言い換えられる。

ただ、それは簡単なことではないと思う。

 

ただの完コピでは音源と差が出ない。そうなるとパフォーマンスで魅せることになるのだが…彼らの音楽はヘヴィメタルであり演奏難度が高い。よって、ジャンプしたり、ギターを投げたりといった”分かりやすい”パフォーマンスは難しいのだ。立ち姿、細かい体の動きだけで表現する必要がある。

ただ、前述したとおり、彼らのライブの経験値は膨大な量になっている。細かい手の動き、立ち位置、メイク・衣装…そのおかげか、彼らの楽曲はライブの方が断然輝いて聴こえる。これは間違いない。

 

もう一点、凄い!と思う事があるのだが、演奏以外の演出…例えば「火が噴き出る」「ダンサー」「バックに映像」といったギミックに一切頼らない点だ。ステージ上には楽器とマイクしかないのだ。なんという潔さか。

                                       

陰と陽、龍と鳳凰…そして、”Wギター&Wボーカル”

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組曲「義経」〜悪忌判官(6thアルバム”臥龍點睛”)

彼らのバンドのモチーフである”太極図”と”龍と鳳凰”を表すが如く、バンドの構成も対となっている。

ボーカルは男性と女性で二人、ギターも役割分けは特に無くツインリードの楽曲が多い。ここまで徹底しているバンドもそう無いだろう。何とロマンにあふれることか…

 

ボーカルについては、基本的にメインは黒猫らしいのだが、二人で歌っている楽曲が多い。男性が歌わないと表現できない部分を瞬火が担っている。そして、陰陽座のギターソロは、

・下手Gt.招鬼→”ロングトーン多めのメロディアスなソロ”

・上手Gt.狩姦→”速弾き主体のシュレッド”

そして、最後に2本のギターが合流してハモる…というパターンが結構多いのだが、またこれが分かっていても熱くなってしまうのだ。水戸黄門が印籠を出した時の気持ち…アレに近い。好きな人にはたまらないだろう。

男女ツインボーカルという形態自体が珍しいのに加え、ギター二人も両方ともソロを担えるというバンドは世界中探してもそれほどいないのでは、と思う。

この構成が陰陽座の表現の幅の広さの要因の1つなのだろう。

                                       

和音階に頼らない”洋楽由来のサウンド”

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 和音階というものが存在する。別名「四七抜き」。

古くから日本の伝統音楽で使われてきた音階で、ざっくり言うとこれを使えば何となく和を感じるメロディになるという便利な音階だ。

 

和を強く感じるサウンドだというのはここまで記事を読んで頂いた方には伝わっていると思うが、彼らは意外なことに滅多なことで和音階は使わない。

あくまでサウンドの骨子は海外の古き良き”ハードロック・ヘヴィメタル”なのである。何故、これほどまでに和を感じるのか…

まず、思いつくのは言葉遣いだろう。聴けば分かるが一貫して古風な文語調である。当て字などで例外的に聴かせることもあるが、横文字の類を一切使わないのだ。ちなみに作詞の大部分は瞬火が担当している(一部黒猫)。メタルバンドにあるまじき教養…

次に、歌謡曲を感じさせるメロディだろうか?抑揚が激しいというか。大仰なのはメタルではあまり珍しくないのかもしれないが、おそらく日本人の遺伝子に刻まれたメロディの運び方があるのだろう…耳馴染みが良く、不思議と琴線にふれるのだ。

そして、シンガーとしては基本なのかもしれないが、この2点を支える”滑舌の良さ”が、この和の雰囲気を伝える大きな武器なのだと思う。

歌詞を見れば分かるのだが、このバンドの歌詞は古典で出てくるような耳馴染みの無い表現が多々あるのだが、歌に乗せると普通に聞き取れたり。メロディに載せる言葉遣いにも相当な注意を払っていることがうかがい知れる。

 

和とヘヴィメタルをちぐはぐに感じさせない彼らの絶妙なバランス感覚に天晴。

                                       

ネタが尽きなさすぎ

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夜歩き骨牡丹(12thアルバム”雷神創世”収録)

活動21年目にしてオリジナルアルバム14枚…平均して1年半に1枚というリリースペースで活動していることになる。彼らの何がそうさせるのか…創作者の鑑ともいうべきストイックさである。

これだけ作品が増えてくると楽曲の数も膨大になってくる。確かに陰陽座パターンみたいな似た曲は結構あるのだが、”メタルからかけ離れたJPOPな曲”や、”ファンクベースの怪しい曲”、”チューニング低めなモダンメタル”等々…言い出したらきりが無く、とにかく幅が広い。

なにより、それらの楽曲のどれを聴いても、クオリティが低いことは僕が知っている範囲ではまず無く、そのどれもが”陰陽座っぽく”なっているのだから恐ろしい。

                                       

特に派手にプロモーションをするわけでもなく、ただただひたむきに「作品の制作」「ライブ」だけを21年…同じ事ができるバンドがどれほどあるだろうか。この音楽へのストイックさも彼らの魅力の一つなのだろう。

 

本人たちも良く語っているが、彼らは確かに”異端”である。

かつてはどこのシーンからものけ者にされ、色物と言われてきたのだろう。しかし、そこで歩みを止めず、ひたすらに音楽に向き合ってきた姿勢に魅かれたファンは沢山いる。

現在では、アルバムをリリースすればチャート入り。JPOPなどに比べれば売り上げは全然少ないのかもしれないが、シーンの中では有名なバンドに上り詰めた。なんと格好の良いことか。

 

残念ながら、現在は黒猫が体調を崩してしまい活動休止中だが、絶対に復帰するだろうし、きっと近いうちに再び素晴らしい作品を作ってくれるだろう。その時が楽しみである。

 

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セーラー服とエモ「Paramore(パラモア)」

一昔前、パンクブーム…というかハードコア系のバンドが流行っていた。と言ってももう10年以上前のムーブメントではあるが。

90年代から王者に君臨し続けていたGreen Dayや2000年代に天下を取ったLINKIN PARKからの流れだろうか?とにかくジャンルは細分化し、多くのバンドが出現しては消え…

そして、基本的に人気のあるバンドの殆どはパワフルな男性ボーカルが活躍するものであった。

そんなシーンで、アヴリルラヴィーンと共に女性ボーカルながら一大ムーブメントを起こしグラミー賞ノミネート・受賞まで駆け上がったバンドがある。

 

それが今回紹介するParamore(パラモア)だ。

                                       

アイドルのような見た目とパワフルなボーカル

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2ndアルバム「Riot!」(2007年)より。

 彼らの人気に火をつけたきっかけの曲であり、 Paramoreと言えばこれ!的なアンセムだ。この曲の時点でVo.ヘイリー・ウィリアムスはまだ19歳だったという驚き。

(2005年のデビューアルバム時、ヘイリーは17歳、Dr.ザックに至っては15歳!)

ほぼ高校生のような年齢のバンドが作ったとは思えない演奏と歌唱力だ。全体的にキメが多くて気持ちが良く、Cメロ→間奏の爽快感とラスサビの入り方は、満点の出来だ。

PVの内容も年齢に即していて「高校でやりたい放題している美人な女の本当の姿をヘイリー達が暴く」という若さ溢れる内容。内面で勝負するわ的な。

ともすれば「売れ線」的な楽曲なわけだが、不思議とそういった嫌味な感じは無い。裏の大人の顔が見えない荒くて良い音だ。

                                       

媚びない姿勢、洗練されていく楽曲、でもやっぱ可愛い

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歌は更にシリアスなメロディに、リズムは複雑化し、知的なフレーズが増えていった。3rdアルバム「brand new eyes」はそれが顕著であり、激しい音楽好きな人はこのアルバムを特に好んで聴いてきたのではないだろうか。僕です。

イントロはもはやポストハードコアと言っても差し支えないゴリゴリっぷり。独特の緊張感でヒリついてくるこの楽曲をアルバム1曲目に持ってくるのは”媚びない”意思表示だったのかもしれない。

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映画「トワイライト」の主題歌。エモいと評される音楽は数あれど、ここまで王道・直球なエモの楽曲はそうそう無いと思う。

ヘイリーの見た目からして、楽曲をポップにすれば更に人気が出たタイミングだったろうに、こういう方向に舵を取ったことでロックファンの心を更につかんだ。そしてバンドの人気は不動のものに。

…というか、20歳くらいのバンドが3rdで出せる貫禄ではない。今冷静に振り返っていて凄いなと素直に思う。

 

シリアスな楽曲が増えたわけだが、全部が全部物悲しくなったわけではなく、明るい曲もあるので紹介しておく。

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ちっちゃい可愛い。演奏のスキのなさに対してこの可愛さ。

楽器やってるオタクとキモオタを同時に満足させる奇跡の楽曲だ。

                                       

変化し続けるバンドと現在

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エモ・パンクという分野で天下を取ったバンドは4thアルバム「Paramore」にてとうとうビルボード初登場1位、そしてグラミー賞「最優秀ロックソング賞」を受賞した。それがこの楽曲。

前作までの攻撃性、シリアスさは鳴りを潜めてしまい、パンクファンはこの辺で一定数離れてしまったかもしれない。だが、無駄な音をそぎ落とし、よりグルーヴを重視した楽曲は多くの人に刺さった。

元々、ヘイリーの表現力の高さには定評があり、ジャンルという装飾が変化をしただけで芯は変わっていないのだろう。極論、全パートをアコースティックにしてもこのバンドは成り立つだろう。

 

そして、最新アルバム「After Laughter」では更に劇的な変化をして巷を騒がせた。

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まさかの80年代風エレクトロポップ。初めて聴く人はこのバンドはパンクバンドとして有名だなんて夢にも思わないだろう。

                                       

5thアルバムまでの間にメンバーの脱退劇やら色々ゴタゴタしていたらしい。そして、リリース後の2018年に活動休止。

現在、ヘイリーがソロ活動中で、デビューアルバムPetals For Armorが先月リリースされたばかりである。そちらの感想はMVカットされた数曲しか聞いてないのでまたの機会に。

 

 

そういえばタイトルのセーラー服について触れていなかった。

↓これ。こんな嫁が欲しい人生だった…

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ギター系女子「Halestorm(ヘイルストーム)」

何故、人はロックが好きなのか。

昨今、クールで知的なバンドが増えてきている。複雑な曲構成、高度な演奏、それを感じさせない上手なアレンジ…素晴らしいことだと思う。ただロックの本質はそこじゃない。

言語化が難しいが、大音量で聴いた時に理解できるような気がする。ライブハウスで聴いて身体で感じるのが理想…しかし毎日通うのは難しいので限りなく近い環境にするためには音量を上げるしかない。

そうすると、今まで聞き逃してきたギターのノイズやボーカルの息継ぎなんかが聞こえてくる。そこに人肌を感じ興奮するのである。

 

Halestorm(ヘイルストーム)はアメリカ出身のハードロックバンドだ。古き良きUSハードロックといった趣だが海外ではかなりの人気を誇っていて、2010年代を代表するバンドの一つと言えよう。

                                       

世界一ギブソンが似合う女、Lzzy hale(リジー・ヘイル)

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人気の要因は99.99999%、彼女の存在だろう。

”アメリカのイイ女”を絵にかいたような恵まれたルックス。似合い過ぎている革製品、そして、何といってもギブソン製のギターに目を引かれる。

ジャズマスターやテレキャスのようなフェンダー系のギターを好んで使用する日本のバンド女子とは対照的だ。流石アメリカ。

 

このMVで使用されているギターはエクスプローラーという種類のギターで、古くはエリック・クラプトン…そして一番有名な使用者と言えばメタリカのジェイムズヘッドフィールドだろう。世界で一番かっこいい変形ギターなので当然の事だが、僕も持っている。

見た目のイカつさからか、男でも持ち主を選ぶ難しいギターだと思うのだが…女性で弾いている人は彼女以外見たことがない。

また、このエクスプローラーは彼女のシグネチャーモデル、言い換えると専用機である。ホワイトファルコンのような真っ白なボディにゴールドパーツ、そして高級感のあるバインディング加工…常人ではギターの見た目に食われてしまう程の華やかさと力強さを兼ね備えた素晴らしいギターだ。

残念ながら現在は生産しておらず手に入れるのが困難な状況だ。欲しい…

まずい、エクスプローラー愛が溢れて早口になってしまった。ここまでバンドの話を一切していない…

                                       

いや、もう”歌が上手すぎる”としか

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見出しの1行でこの記事で伝えたいことを言ってしまった。困った。

声質もさることながら、とにかくシャウトが凄い。ハイトーンが伸びること伸びること… かつてのVIXENを彷彿させるようなパワフルさだ。80年代にデビューしていたら間違いなくトップスターになれた器。

日本でいうところのsuperflyにあたるボーカリストだろう。ギター持ってなくてもそれくらいのポテンシャルがあるだろうし。

 

曲に触れていこう。曲名を直訳すると「私は火炎」。MVも燃えているし、曲以前に物理的にも熱い。

静かな歌い出しで始まって最初のサビでパーッと広がる所、100点です。シンセやストリングスを使っているわけではないのにこの壮大さ、そして後半のソロを挟んでからのシャウトパートで胸が締め付けられそうになる。まるで映画の主題歌のような大作だと思います。

2188万再生は伊達じゃない。

                                       

ロックの復権はいつになるのか

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Halestormの人気が出始めた同時期、奇しくも日本ではGLIM SPANKYが売れ始めた。

世界的にロックが下火と言われ続け何年くらい経ったのか。下火どころか”ロックは死んだ”なんて抜かす人もいる。

流行り廃りというのは結局のところ「あるジャンルが流行る→巷に似た音楽が溢れかえる→リスナーが飽きる→別のジャンルが流行る」の繰り返しであり、裏を返せばロックが下火と言われた時に生まれ、生き残ったバンドは真の実力者というわけだ。

逆に”本物”が見つけやすくてリスナーとしては感謝したいくらい。ありがとうセンテンススプリング!

冗談は置いておいて、僕はロックブームは近いうちに絶対来ると踏んでいる。

何故ならエレキギターもドラムもベースも聴いていて”気持ちが良い”から。今はEDMやヒップホップに浮気している人達もそろそろ飽きる頃だろう…

 

その時までロックバンドが生き残る事が出来るようにサブスクで沢山聴いたり、人に勧めたり、グッズを買ったり…色んな方法で支えていきたい。

 

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時代を作った「Bullet For My Valentine」

ヘヴィメタルは保守的なファンが多いジャンルだ。奴らはちょっと若者向けな雰囲気を出すとすぐに叩く。本当にクソだ。

今回紹介したいのは2000年代に入ってからのヘヴィメタルの筆頭格Bullet For My Valentine(ブレットフォーマイヴァレンタイン)…2005年にメジャーデビューを果たし、今年で15周年になるUK発のバンドである。ちなみに最初に書いた愚痴は今回のブログ記事には一切関係ない。

以下BFMVと略す。

                                        

王子様のようなルックス(当時)

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Gt/Vo.Matthew Tuckの見た目がとにかくカッコよかった。絵にかいたようなロン毛の王子様ルック。

このバンドに出会ったのはおそらく2009年頃、高校生だった僕はXを皮切りにヘヴィメタルにどっぷり浸かっていてOzzy osbourne,Megadeth,Mr big等々…とにかく歴史を振り返るようにHR/HMを聴き漁っていた。

というか、古いバンドしか知らなかったのでこんなに今風でスタイリッシュな見た目のメタルバンドがあると知らなかった。メタル=もじゃもじゃパーマだったのだ。

僕も現代っ子ではあるので、メタルはカッコいいと思っても別にルックスまで往年のギターヒーローの真似をしたいとは思っていなかった。当時の僕はエモ系の音楽も好んでいたので、どちらかというとそちら寄りの見た目をしていた彼には憧れを抱けたのだ。

                                       

エモ顔負けの”メロディ”&正統派メタルの”凶悪さ”の良いとこ取り

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2:27からの展開は音楽史に残ると思う。

 当時はポストハードコア、所謂スクリーモも流行っていて「美メロ×激しい音楽」的なバンド自体は珍しくはなかった。高校生の僕は知らなかったが。

しかし、そういったバンドは歌メロ主体で、往年のヘヴィメタルのような耳に残るリフ、そしてギターソロ自体存在しない事が多かったのだが、BFMVは何の違和感もなく両立していた。それは、あくまで彼らの根底にはヘヴィメタルがあり、それに裏打ちされた技術があったからこそだと。

個人的にだが、ベースになっている音楽はかなり重要だ。

(例を挙げると「SiM」はベースがレゲエだからあんなに気持ち悪い(めっちゃ褒めてます)曲が作れるのだ。逆に骨子がメタルやパンクだったらあそこまでの異質感は出せない、というかそもそも作れないと思う…)

                                       

マッチョ化と怪しい雲行き

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おそらく3rdアルバム「Fever」の頃くらいからだろうか…マットの腕が太くなり始めた。それと同時に音楽性に変化が起こり始めた。お、おい随分聞きやすくなりやがって…

それもその筈、プロデューサーにlinkin parkを手掛けたドン・ギルモアを迎えたのだ。より大衆向けに…という意識があったのだろうか?ギターソロが無い曲が増え、より歌にフォーカスした作品になっている。

曲のクオリティは非常に高く、名曲揃いだったので特に目立った問題はなかった。僕もこのアルバムは好きでかなり聴いてたし、今でも聴く。

ただ、問題は次のアルバム…

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4thアルバム「temper temper」は3rdに引き続きドン・ギルモアを採用。よりモダンな大衆向けの音楽を目指したのか、はたまたもっとノリやすい音楽を目指したのか…

僕が好きだった耳に残る大仰な美メロは鳴りを潜めてしまい、中途半端にノリを意識したせいか、ギターリフがどうにもしっくりこない。

このブログは基本褒めちぎりの方針なのだが、ぶっちゃけこのアルバムに関しては嫌いだ。今聴いたら印象が変わるかもしれないと思い再生している真っ最中だが、びっくりするほどグッと来ない。

大衆向けの方向性が云々というより単純に曲が良くない。今までのBFMVはどこにいっちまったんだよ…と、この時点で僕はこのバンドにはあまり期待できなくなってしまっていた。

                                       

原点回帰と現在

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5thアルバム「Venom」より。

前作で落胆しきっていたこともあり、リリースから1,2年遅れる形で聴いたアルバムだったのだが……”俺たちのBFMVが帰ってきた!!”

まさにこんな感じ。アルバムの内容も、昔のスラッシーだった頃の雰囲気の曲や持前のメロディセンスが爆発している”Venom”という名曲も生まれた。

どうやら1st,2nd時のプロデューサーに戻ったらしい。業界人ではないので良く分かっていなかったのだが、プロデュースする人間の如何で音楽性がこうまで変わるのか…と、このバンドを通して学ぶことが出来たのであった。

 

気になる現在のバンドの状況だが、6thアルバム「gravity」を2018年にリリース。またもや音楽性が変わり…まさかのピコピコを足してきた。

まぁぶっちゃけ曲は個人的にはそれほど悪くない。でもこれならBring Me The Horizon聴けばいいんじゃないか…っていう感想です。意識し過ぎでは…?

ちなみにマットは短髪ゴリゴリマッチョになってしまった。ちょっとショック…

 

 

冒頭で保守的なメタラーをディスったにも関わらず、変化したBFMVに文句を言う記事になってしまったのは何というブーメランだろうか。

それでは。

 

KingGnuの次は彼ら「Kroi(クロイ)」

Kroi(クロイ)とは、内田怜央(Vo.)、長谷部悠生(Gt.)、関将典(Ba.)、益田英知(Dr.)、千葉大樹(Key.)によ る5人組バンド。ヒップホップやファンク、ソウル、R&Bなどあらゆる音楽ジャンル からの影響を昇華したミクスチャーな音楽性を提示している。(公式HPより)

 

コロナ禍になる前だろうか?今年の頭に、東京在住の音楽好きな後輩と居酒屋に行った時に「このバンドめっちゃ良いんでよろしくお願いします」と教えてもらったバンドだ。なんでも、3000組以上のオーディションを勝ち抜いて2019年サマーソニックに出演した実力派の新人らしい。

 

                                       

確かに黒い(Kroi)

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プロフィールにもある通り、彼らはブラックミュージックをルーツとしている。イントロのキーボードがまるでstevie wonderの「superstition」のようだ。とういうかこれは意識しているのでは?という感じでニヤっとしてしまった。

生バンドにラップを載せるバンドと言ったら代表的なものは韻シスト辺りだろうか?ただこちらの方が脱力感みたいなものを感じる。身構えずにリズムにノレる、そんな感じ。

ヒップホップではなくファンクのビートなのが泥臭さを感じる正体なのだろうか。これだけラップをしてもバンドとして受け入れやすい。各パートに見せ場があるのもGood。

                                       

ボーカルが器用

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いきなり挑発的で大変良い。この余裕が早くも大物感かもしだしてますねぇ…

ギターも弾いてちゃんとラップもして…大忙しだ。何より素晴らしいサビ。サビ?

Suck a Lemmonは脱力感を感じたのだが、こちらはソウル。ジェームスブラウンかよ。

 

ファンクにソウル、下手をこけば「古臭い」という感想になってしまうのだが、ラップによるヒップホップ特有のthugさと、keyのシティポップぽさが良い雰囲気を出していて、アーバンチックな要素と泥臭さのバランスが非常に良い。簡単に言うと今っぽい

 

数行前でも言ったが内田怜央(Vo.)の余裕、「常に楽しそう」な表情・パフォーマンスが見てるこちら側も楽しい気分にしてくれる。

必死なバンドもかっこいいが、リスナーも気構える事無く酔えるプレイもなかなか乙ですなぁ。今このブログ書きながら酔っぱらってます。

                                       

これ、次くるでしょ

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出す音源が軒並みカッコ良い。どうなっているんだ。

”イケてる”雰囲気はそのままに、今度はビートがかっちりしてきた。

 

ミクスチャーなバンドの成功例と言えば最近だと間違いなくKing Gnuだろう。紅白まで行ったのは正直びっくりしたが。

比べてみると彼らはどちらかというと「綺麗め」だ。(別にkroiが綺麗じゃないといっているわけではないが…)オーケストレーション的な壮大さも感じる。

Kroiの所々にアングラさを感じる部分や、ブラックミュージックの持つオールディーズな雰囲気を現代のポップミュージックに昇華している部分で差別化は出来ているし、キングヌーみたいな心地よいバンドを散々聞いた後にこっちも食べたくなる的な…音楽好きは結構いるんじゃないかと思う。そんなオシャレなリスナーが僕のブログを読んでるかは怪しいところだがどうですか??????

 

 

 

 

最近メタラー的な記事が多かったんですけど、たまにはシャレてるのも…

これからというタイミングでコロナなんて迷惑なものが出てきてしまったが応援していきたい。本当にかっこいい。

 

衝撃的な融合「DIMLIM」

ヴィジュアルシーンは本当に上手いバンドが増えた。主にテクニカルな界隈。

古くはX…そしてDIR EN GREYが主だって激しい音楽をプレイしていた。そして2000年代になって、DELUHI・摩天楼オペラ・Versailles・NoGoDあたりの活躍。最近だと、JILUKA・DEXCORE・Deviloof・lynch等.…(不勉強故、これくらいしか知らない…)、そして僕の大好きなNOCTURNAL BLOODLUSTが今どきのメタルを取り入れた音楽で頑張っている。

 

このシーンは知らない人からは音楽性の如何に関係なくヴィジュアル系という言葉で括られがちだ。音楽をさす言葉ではないのだが、聴きもしないでスルーしてしまうのは非常に勿体ないことだと思う。

そう”音楽を指すジャンル”ではないからなのか、とんでもないチャレンジをしているバンドも多々いるのだ。(この辺はアニソンなんかも共通しているかもね)

 

そんなバンドの1つが「DIMLIM(ディムリム)」である。

                                       

まさかのマスロック

いや、マスロックってなんやねんって人もいるだろう。

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最近売れているバンドはこんな感じだったり

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こう言う感じのバンドだ。日本人で最近売れているichikaもこれに近い雰囲気のギターを弾く。

 

聴いてもらえばわかるだろうが、往々にしてインストゥルメンタルであることが多い。つまり楽器が主役でボーカルがいないのだ。

音楽性は多様だがヴィジュアル系のバンドは基本的にはボーカル命だ。果たして、マスロックと両立なんてできるのだろうか… とりあえず聴いてみよう。

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 で、できてる~~~~~~~~!!しかも、滅茶苦茶かっこいい。

歌に遠慮して、一部分だけギターを弾いているとかではなく、全編に渡って弾きまくっている。引っ込んでいるのはサビかCメロくらいだろうか、これならインストとして聞いてもイケてそうだ。

歌もハイトーンがとにかく伸びる。美しいメロディが、複雑な楽器隊に一切引けを取ることが無い。

っていうか上手すぎないか?

                                       

衝撃の歌唱力

上で紹介したWhat's up?が僕が最初に聴いたものだが、これは一番新しいアルバムの曲で、バンドの歴史を遡ると少々音楽性が違ったらしい。

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2度目の衝撃だった。このボーカル、こんなに色んな声出せるのかと。

デスボイスに加え、”ホイッスルボイス”まで駆使している。特に2:30~からの約20秒にも及ぶロングトーンは圧巻だった。っていうかこれ程長いのは今まで聴いたことが無かった。ノクブラも使用はしているがここまで長くはない。

 

この見た目、デスボイス、そしてホイッスルと揃うと、どうしてもDIR EN GREYの京が浮かんでくる。調べてみると彼、Vo.聖はやはり多大な影響を受けているようだ。

ただ、この使いこなしっぷりは、憧れで出来るような事ではない。多大な努力、才能があってこそだ。であるので、さぞかし長いことバンド活動で鍛えたのだろうと思っていたのだが……

聖:僕はバンドをやったことがないんですよ。DIMLIMが初めてのバンドです。

((DIMLIM | 激ロック インタビュー https://gekirock.com/interview/2017/05/dimlim.php

3度目の衝撃。このバンドが初めてのバンドらしい…恐ろしい才能だ。いきなりこんなハイテクなバンドに放り込まれて、こんなに歌いこなせるものなのか。

>-DIMLIMに加入する前はどのように練習していたのですか?

>聖:お風呂でずっと練習してました(笑)。

らしい。ボーカリストを志す方はお風呂で練習しよう。

                                       

 音楽性の変化

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 僕は入り口が最新のアルバム曲だったので知らなかったのだが、これまでの音楽性の変化が結構激しかったようだ。

この曲、そして上で紹介したのvanitasは流麗なリードフレーズに加え、Djentやメタルコア的な激しいサウンドが目立つ。現在、サブスクやyoutubeでオフィシャルに公開しているアルバムしか聞けていないが、これ以前は更にメタリックだったようだ。

 

元々歪んだサウンドを売りにしていたバンドが今の方向性に舵を切るのは勇気がいることだと思う。実際文句を言う人もいるだろう。

僕は全く持って了見が狭いと思う。ましてや、彼らの持つ歌メロの良さ、楽器の音使いの流麗さ、リズムパターンの面白さは一切損なわれていないのだから。

本人たちも思うところがあるようで、Whats’s up?の歌詞にもそれが表れている。

 

周りに流され自分を持たない者達よ

「変化」を「進化」と呼べない愚かな者達よ

同じところをぐるぐる回ればいいさ

くだらないね

 

媚びるアーティストと、表面しか見ずに受け入れないリスナーに聴かせてやりたいフレーズ。っていうか直球すぎてちょっと笑ってしまった。

実際、彼らの場合は「進化」だと思う。音楽を数字や実績で語るのは全く愚かなことだとは思うが、コメント欄の外国人率を見れば一目瞭然だろう。

良くなかったら、反応なんて無くなってしまうはず。賛否があろうと音楽というものは話題になってこそではないだろうか。

 

 

 

 

 

 

いかがでしたか。

ヴィジュアル系から出てきたとんでもないバンド的な紹介をしたが、ヴィジュアル系関係なくこんなバンドは他に聴いたことが無かった。

っていうかこれが評価されないのはおかしい。ぜひ聴いて、周りの人にも教えてあげてほしい。

 

現在サブスクで1st「CHEDOARA」、2nd「MISC.」両方とも配信中です。