思春期のドロドロを思い出す「Marmozets」
僕はロックバンドの持つ「凶暴性」が好きだ。
初めて音楽にグッと来た時の事を覚えているだろうか?あるいは、狂ったように聴いていた時期の気持ちでもいい。
僕は歌を歌っている人間の気持ちみたいなものが分かったような気がしていた。「悲しそうだな」とか「怒ってるな」とか…色んな感情があると思うが本人に聞いた訳でもないのに共感していたのだ。共感して、滾っていた。
それが何となく面白くて…どっぷりと音楽を聴き続けて現在まで無事に生きながらえてきたわけだが… 人は知識や経験を積むと、どうしても理屈を付けたがるようだ。
音楽だったら、コード進行が… レスポールっぽい音が… ~っぽくていいなーとか…それはそれで楽しかったりもするのだが…そんなことばかり考えているせいで思春期に音楽を聴いていたころの「滾る」という感覚が希薄になってくる。
今回紹介するバンドに出会ったのは数年前だが、聴いた瞬間に「滾った」覚えがある。
最初に聴いたときに、言葉も分からないのに共感してしまったのだ。ヒアリングには自信が無いので言葉としてだけでなく、確実に音として聞いて、滾っていた。
今、あえて言葉にするのならば、
・楽器隊の音の荒々しさ
・Vo.Beccaによって目まぐるしく入れ替わるクリーンとシャウト
・予想できない曲展開
による「カオス」だろう。情報量が多くて脳みそがビックリしたのかもしれない。
何となく”怒り”みたいなものを感じたけど、あまりに目まぐるしい変化のせいで理性的ではない…「凶暴な獣」的なニュアンスを感じていた。
ロックバンドの1stアルバムというのは不思議と「初期衝動」みたいなものを感じる作品が多かったりする。同じイギリスのバンドだとArctic Monkeysの1stとか…若さ故の暴走的なニュアンスが肌で感じられる。
Arctic Monkeysの「Whatever People Say I Am, That's What I'm Not」をApple Musicで
”悲しい””楽しい”…色んなアルバムがあるとは思うのだが
Marmozetsの1st「The Weird & Wonderful 」
はそう言った説明ができない…こう…もっと心のドロドロした部分を見せつけられているような凄みがある。
Marmozetsの「The Weird and Wonderful Marmozets」をApple Musicで
”心のドロドロした部分”
このアルバムへの共感の正体は…もしかしたら思春期の頃を思い出したのかもしれない。多少、人間は年を取れば心の整理がついてくるものだが10代の頃は感情の変化が目まぐるしくて…やはりカオスだったと思う。まさに彼らの楽曲のように。
最近の…チューニングが低くて、物凄いテクニックのメタルコアバンドでも出せないような別種の凶暴さだ。理屈で理解できない、共感による凶暴さなのだ。
これだけ叫んでいるとライブはどんな感じなのか気になってくる。心配ご無用。
彼らはステージングもかっこいい。
目まぐるしい展開だがボーカルの息は切れないし、曲の繋ぎが上手くてフロアのテンションも下がらない。演奏の再現度も高いし、上手だ。
Reading Festival 2015のステージングは本当にクオリティが高くて、多分100回くらい見てると思う。
見た目もいい感じだ。女性ボーカルというだけで華があるし、ギターがイケメンと髭ワイルドとキャラが分かれているのもステージを見ていて面白い。
ここまで1stアルバムにしか触れていなかったが、彼らは2ndアルバムまでリリースしている。
Marmozetsの「Knowing What You Know Now」をApple Musicで
初期の荒々しさ、カオスは少し鳴りを潜めてしまったかなという印象。リリース当初は、ガッカリしてしまったのだが音楽的にはバラエティに富んだ出来栄えで、今聴いてみると意外と飽きずに聞けてしまうアルバムになっている。
僕が特に”tr.6 - Lost In Translation”,”tr.9 - Nex Religion”
がお気に入りだ。 おすすめです。
…
久しぶりの洋楽でした。
ここ数年はどちらかというと邦楽を聴いている時間のほうが多いので、ブログの内容も偏ってしまった感じ。
言葉もだけど…音質、グルーヴみたいなものが日本の音楽とは違いますね。どちらが良いというわけじゃないんだけど邦楽に飽きた人なんかが訊いたら面白いんじゃないでしょーか?
それでは。